秘訣2
承継の10年前に着手する
秘訣2
承継の10年前に着手する
一般的に事業承継には5~10年が必要だといわれています。
会社の置かれている状況にもよりますが、後継者の選定および育成、後継者を中心とした新しい組織の体制づくりなどをするのに最短で5年、これに加えて入念な税金対策、資産移転などをしようと思う場合は、10年を見ておくのが妥当です。
そうすると、事業承継のタイミングはおのずと決まってきます。親が65歳で引退を考えるのであれば、その5年ないしは10年前、つまり55~60歳までには対策を始めなければなりません。
しかし実際には、親が70歳くらい、後継者の子が40代半ばあたりで経営のバトンタッチ完了を目指す人が多い印象です。子30代と親60代では、まだ子の人生設計が固まっていないことも多く、親もまだ現役バリバリですから、事業承継を現実味を持って考えるには至らないのかもしれません。
平成27年1月1日の税制改正を受けて、多くの経営者は相続税対策には関心が高いようです。ところが、事業承継についてはなかなかピンとこないのか、いつまでも現役でいたい気持ちが強いのか、手をつけようとしない人が多くいます。
ですが、万全な体制で事業承継をしていくには、時間の余裕はあるに越したことはありません。経営者に複数の子がいるなら、どの子に継がせるか。いつ頃、継がせるか。会社の方向性や経営理念をいかに伝えていくか。自分の引退のしかたをどうするか。継がない子へのフオローをどうするか。このように、考えること。やらなければならないことは、いくらでもあるのです。