秘訣26
労務問題を回避する

秘訣26
労務問題を回避する

近年は労働者の権利意識が高まっています。その一方で、経営者の側は依然として、労務ヘの意識が低い人が多いようです。代がわりの際には、労務問題への意識を新たにし、経営体制をクリアにしておくことが、従業員トラブル回避の秘訣といえます。

労働者の権利意識が高まっている証拠に、都道府県労働局等へのパワハラに関する相談が急増しています。また、会社と労働者個人で争う「個別労使紛争」にまで発展するケースも年々増加しています。個別労使紛争とは、会社と労働組合といった団体同士の労働問題ではなく,従業員個人と会社との間の労働問題トラブルのことをいいます。

2006年から労働審判制度がスタートしました。この制度は、民事上の個別労働紛争について、審判官(裁判官)と、労働問題に精通した労働審判員が関与し、紛争を解決するものです。3回以内に労働審判での調停がまとまらない場合は、解決案(審判)が出されます。そして、審判に異議がなければ、訴訟で得られる判決と同じ法的効果が生じます。

従来の裁判所を利用した訴訟手続きでは、第一審の判断が出るまでに1年程度かかるケースがありました。また、労働者側が勝訴しても、会社側が控訴すれば、さらに多くの時間がかかりました。

労働審判は、申立てから終結までの平均日数は約70日と迅速です。労働問題に詳しい一般人が労働審判員として加わることで、より適正な解決も可能になりました。つまり、これまでよりも「より労働者側に立った」審判が行われるようになったのです。

個別労使紛争で最も多い労働者側からの訴えは、「退職後に今までのサービス残業代を請求する」というものです。

会社側が本来支払うべき残業代を払っていなかった場合、「過去2年間に遡って」支払うことになります。一人の従業員が未払いの残業代を勝ち取ると、他の従業員たちもこぞって労働審判を申し立てることになるでしょう。そうすると、残業代の支払いが数千万円規模になるケースもあります。中小企業だと、これだけで一発KOされてしまうことにもなりかねません。

問題は他にもあります。審判に時間と手間がかかり、本業どころではなくなってしまったり、従業員の士気が下がってしまったりします。従業員たちのやる気と会社の業績はリンクしますから、これは大きなデメリットです。

経営者はこうした労働問題に関心を持ち、最新の情報にアンテナを伸ばしてほしいと思います。そして、自身の経営のやり方や従業員たちとの関係性を振り返り、問題点があれば今後の改善に努めてください。

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