従業員からの反対が事業承継の落とし穴

従業員からの反対が事業承継の落とし穴

親子承継の際に起こりがちなトラブルでもう1つ、忘れてはならないことがあります。それは、従業員からの反発です。

後継者が優秀で経営能力があったとしても、従業員からの反対が出たり、意見の不一致が生まれることがあります。

後継者というのは、常に従業員から先代経営者と比較される立場に立たされています。従業員から「先代はああだったのに」「先代の頃はよかった」「前のほうがやりやすかった」などと言われたりします。実際には何も言われていなかったとしても、常に比較されているというプレッシャーから、「自分は悪く言われているのではないか」と感じてしまうものです。

それを払拭しようとして、従業員に対して必要以上に自分を大きく見せようと虚勢を張ったり、上から力ずくで抑えてしまったりする後継者がいます。すると、従業員との間に軋蝶を生みます。

後継者に実力がついてきて実績を示せるようになれば、そうした態度も「さすが先代の血を引いているだけある」と認めてもらえたり、「やっぱり若い経営者は勢いがあっていい」などと一日置かれるようになったりもするのですが、経営者としての実績がない時にそうした態度をとると反感を買ってしまいます。

従業員がついてこないと、経営者は′′裸の王様”です。そんな会社がうまくいくはずはありません。

場合によっては、従業員たちが大量に辞めていってしまうこともあるでしょう。従業員は会社の戦力であり宝ですから、これが大量に流出してしまうことは会社にとって存続を揺るがす大ダメージになります。特に「この人しかできない」という技や知識を持つ人材が失われると、明日の経営さえ危ぶまれてしまいます。

そういう意味では、事業承継に当たっては、従業員からの理解やサポートを取りつけておく必要があります。経営者は後継者の育成だけでなく、補佐役となる人材の選定や育成にも目を向けなくてはならないのです。

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